全世界ジュエリーショップの苦悩

はい、前回の続きです。
先に言っときますが、今日の記事はかなりマニアックです。
時間のない方はココで止めておいて下さい。 (笑
読んで頂ける方はゆっくり深呼吸しながらどうぞ。

ではさっそくいってみましょう。

突然ですが質問です。
ジュエリー屋にとって1番困るクレームはどんなものだと思いますか?

ホワイトゴールドがイエローゴールドに変色した。

騙された!返金せぇ!このクソ日本人!!

これですね。
これが1番困ります。
えぇっと・・・まずどこから説明すればいいかな・・・。

じゃぁまず自然界に存在する「金」って何色なんでしょう!?
これはね、読んで字の如く「金色」です。
つまりこういう↓色ですよ。

GOLD.jpeg

自然界に「白い金」というのは存在しないんです。
属に言う「ホワイトゴールド」(以下WG)ってのは全て人工です。
金山や川からWGが採掘されるなんてことはあり得ません。
要するに「白い金」である以上、必ず混ぜ物が入ってるということです。

はい次。
「純金」ってのも良く聞きますよね!?
これもね、読んで字の如く構成物質が100%金ってことです。
あ、一応定義としては99.99%以上の純度で、
「純金」を名乗って良いことにはなっています。
まぁ、ほぼ100%だと思って頂いて間違いありません。

で、純金は純度100%の金ですから、絶対に色は金色です。
「混ぜ物」を混入しないと「GW」にならない以上、
「ホワイトの純金」なんて存在しません。
ちなみに純金のことを属に「24金」と表現します。
金の基本形で、最も価値が高い状態です。

はい次いきます。
「18金」ってのも良く聞きますね!?
表記としては「K18WG」「K18YG」とかですね。
これはどういうことなのかというと、
18/24が金で、6/24は混ぜ物ってことです。
パーセント比率で表すと25%:75%ですね。
約分すると5:15の比率ですね。ここテストに出ますよ。

はい次。
ではなぜ25%の混ぜ物を加え、
わざわざ金の希少性を落とし、価値を下げるのか!?

これには2つの理由があります。
まず1つ目。
純金は柔らか過ぎるからです。
柔らか過ぎると加工がしにくい上に、
傷も付くし、使用中に磨耗してしまう。こういう訳です。
「14金」も、最近出てきた「10金」も同じ原理です。
全体量を「24」とした時に金の含有量がどれだけなのか、と。
もちろん金の含有量が下がれば価値も下がります。

次、2つ目。
25%の混ぜ物で全体の色を変色させる為です。
要するに「WG」や「ピンクゴールド」は、
25%の混ぜ物によって変色させられた金なんですね。

はい、予習お終い。
では何を混ぜると「WG」になるのか!?
これはね「銀」と「パラジウム」を混ぜると「WG」になるんです。
一般的なK18WGの比率は金75%、銀15%、パラジウム10%程度でしょうか。
この他にも「銅」や「亜鉛」を混ぜる場合などもあって、
混入の比率は各工場によって違いますし、
上記金属以外の物質が混ざってる場合もあります。
その辺は各工場の企業秘密なんで教えてくれません。
ともあれ、銀やパラジウムを溶かした「混ぜ物」の量が全体の25%、
金の含有量が全体の75%になるように混ぜると「K18WG」になるんですね。
この25%の混ぜ物のことを割金(ワリガネ)と呼びます。

ちなみに、「WG」に関する世界基準はありません。
「白く見える金」だったらなんでも「WG」なんです。
要するに持続性を持った「白い金」になるのであれば、
極端な話、何を混ぜてもいいんですよ。
ただ唯一、混合NGなのは元素記号Niの「ニッケル」。←テストに出ます。
この物質は金属アレルギーを発動させる可能性が非常に高いんです。
日本では、もうかなり前からこの物質を混入した「金」は作られていません。
イタリアでは4年前まで、3%以下なら入れていいことになっていました。
今は全面禁止ですね。
ただ、「ニッケル」を数パーセント混入しただけで、
他の何を混ぜるより金は白くなります。
これが最近までイタリアでニッケルが使われていた理由です。

ちょっと話が逸れましたが、
とにかくニッケル以外の割金で「白い金」を作ろうとすると、
銀とパラジウム、銅や亜鉛などを混ぜる他ありません。
これらの絶妙な配合で「白い金」は作られると。

・・・・「白い金」というか・・・・・・・・「1番白っぽくみえる金」というか。

そう。そうなんです。
ニッケル以外の金属で試行錯誤を重ねた結果、
銀やパラジウムの絶妙な配合で「金が白に近付く」ことは分かりました。
ただし混ぜただけでは、やはり完全な「白い金」にはなりません。
実際に消費者が目にする「WG」にはならないんです。
まだ見た目には「金色じゃねぇの!?」程度のWGです。
さてどうしましょ、と。

ここで登場するのは元素記号Rh「ロジウム」。←ここ、テストに出ますよ。
このロジウムでメッキをかけるんですね。
するとどうでしょう!?
あら不思議!
さっきまで金色寄りだった金が真っ白に!

という訳で、これが「WG」の出来る迄なんですね。
で、もうお分かりだとは思いますが、
このロジウムメッキは所詮メッキですから、
当然使い込めば剥がれてしまうこともある訳なんですね。
で、剥がれると地金がもろ見えになってしまいます。
そうするとどうなるか!?

そうです。
素人さんにはイエローゴールドに見えてしまうんです。
しかもこのもろ見えになってしまった金には、
先ほども書いたように「銀」が混入しています。
元素記号Ag「銀」は化学変化し易い物質の1つです。←受験生は覚えましょう!
大気中の排気ガスや、温泉地の硫化水素などに反応して変色します。
金に混入されている銀が科学反応してしまうとどうなるか!?
答えは 余計金色に見える です。

困った話です。
お客さんの中には、
「WGは天然の金」だと思ってる方もかなりいらっしゃいます。
元々ああいう白い色で採掘されるものだと信じ込んでいるんですね。
要するに、

イエローゴールドにメッキかけただけじゃねぇか!!

ぶっ殺すぞ、このイエローモンキー!!

・・・・と。
まぁね、間違っちゃいないんです。
でもね、根本的に基礎意識が間違ってますから困ったもんだ。

かと言って、お客さんに非があるとも言い切れません。
今までジュエリー業界がきちんと説明しなかったのが悪いんです。
お客さんの無知は、この場合罪にはできませんよ。
ただね、うちの店は日本人が経営してるんで・・・、

日本ではそれで通るかもしれんがココはイタリアだ!

イタリアでは白い金が採掘できるんだぞ、コノー!


訴えてやる!

という展開で、半分人種差別的に訴えられかけたことがあるんです。
もうこの記事を読み終えた皆さんはお分かりだと思いますが、
イタリアに限っては白い金が発掘されるなんて嘘です。
このお客さんの勝手な思い込みです。
勿論このお客さんが怒鳴り込んできた際に、
こちらは冷静に、且つ何度も説明を試みたんですが聞いて貰えませんでした。
挙句の果てに、説明を試みたうちのイタリア人従業員に向かって、

君は騙されているんだ。目を覚ませ。

なんと愚かな思い込みか。
というかそこまでハッキリ物言われるとこっちが不安になりますよ。
イタリアだったら白い金も出ちゃうかも・・・・なんつって。(笑

結局、最終的にはこちらも弁護士を通してキッチリ説明の上、
商品代と商品を完全引き換えということで示談になりましたが、
いきなり先方の弁護士から通知が来た時は死のうかと思いましたよ。(号泣

はい。
そんなことで2回に渡って店長の苦労を長々と綴ってきました。
本当はね、あたくしの苦労、まだまだこんなもんじゃございやせん!
ただまぁ全部書くと巻物みたいになっちゃいますから。
とりあえずこの辺で、今回は勘弁しといてあげましょうよ。

ではでは、ごきげんよぉ~

「全世界ジュエリーショップの苦悩」への2件のフィードバック

  1. 具合が悪くなりそうなほど、難しい話でしたが(高校時代、化学はかーなーり、苦手でした)・・・苦労は伝わりました。でもピンクゴールドやホワイトゴールドは加工してあるって・・・普通に考えて分かりそうなもんですが。。。。。。。。。。。。。。頑張れ店長さん!!!

  2. >milano-distanza様
    いやー、でも結構知らない人多いですよ。
    WGの方が純金より高いと思っていたり、
    あのまま地中から掘り出されると思っていたりする方、多いです。
    イタリア人に限らず日本人でも結構いますからねぇ・・・。
    ともあれこの事件は本当に大変でした。(涙

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