イタリアミラノで接客冥利に尽きる瞬間

暖冬だとか言われておりました今年の冬ですが、
いよいよ寒さも本格化しておりまして、
本日の最高気温はマイナスということで極寒のミラノです。

そんな中ミラノのクリスマスを久々に動画にしてみようと、
営業終了後にミラノ中を自転車移動している私の体はそろそろ限界でして、
先日は、氷点下で30分じっとしていたところ、
スキーとサッカーのし過ぎで爆弾だらけのわたしの膝、
なんと5分くらい動かなくなりましたので焦り過ぎて心臓も患った次第。

せめて最後は日本で・・・・。

A コインの裏表で値引き率を決める(客希望は20%、店の提示は10%)

B その間を取って15%のディスかウントにしておく

C ディスかウントはやはりしない

ミラノに移り住んで間もない2004年6月のこと、
こんな決断を迫られたことがありました。

イタリア語も経営のことも経済のこともジュエリーのことも、
というより世の中のことを何にも分かっていなかった23歳の春、
キャリーバッグ1つで単身イタリアに戦争をしに来た訳ですが、
異国ですから、やはりそれなりにビビってはいたと思います。

ただ、従業員においては、
私は社長という位置付けで派遣されたと認識していますから、
私が若輩だろうが、若造だろうが、若ハゲだろうが関係ありません。
何かしら疑問質問があれば容赦なくぶつけてくる訳です。

当時の私、当然それらが捌ききれるはずもなく、その度に本社に連絡し、
それを従業員に解として伝え、伝言役でしかない自分に焦ったものでした。

そんな焦燥感と必死に戦うある日、
奥様へのプレゼントを探すイタリア人のある男性、推定45歳。
記入して頂いた顧客情報から、名前はロベルト氏。

彼は私が責任者と見るや、君と話がしたい、と。
君に接客されたいので、英語で会話しようじゃないか、と。

それから格闘すること約1時間。
私にとって初めての1人での接客、初めての英語での接客、
初めてのビッグクライアント、見守る従業員の視線・・・・。

もう全身びっしょり汗を掻いたのを良く覚えていますが、
散々細かい注文を付けてきたこのお客様が最後に私に問うたのが冒頭の二択。

色々と悩みましたが最終的に私が選択したのはB。
ディスカウントを要求した時点でほぼ買いかけていた商品の総額が約100万円。
20%だと20万円のディスカウントになってしまいますから、
そんなことになってしまった日には日本に帰れない、と。
原価とか、値引き率とか、経費とか、当時その辺をいまいち理解していませんから、
20万も引ける訳ねぇだろ、アホ!と怖気付いての回答だったような気がします。
するとこのお客さん。

ロ: 気に入った。私も経営者だが、同じくBを選択するだろう。

店: あ、ありがとうございます。

ロ: ミラノで責任者になったばかりで色々大変だろうけど、君ならやれるから。
  今日は10%のディスかウントでいいよ、90万支払います。

店: えぇ!?本当に宜しいんですか?

ロ: 君への心付けだと思って取っておいてくれ。

店: あ、ありがとうございます!

ロ: これから頑張るんだよ。

なんていうことが実際にあったんです。
なんだか良く分かりませんが、当時いたく感動しまして、
少なからず、これからミラノで生活していく自信みたいなものを頂いた気がするんです。

これからも贔屓にするよと言って帰っていったこの方、
その1ヶ月後に再度ご来店頂きご購入頂きましたが
その後引っ越してしまわれたらしく、
1年経った頃からDMが返ってくるようになってしまいました。

色々なことが初めてで、感動も感謝もしましたし、
印象深くて忘れられない出来事でしたから、
それから現在までの5年の間、
特に売り上げが厳しかった月なんかには彼を思い出し、
従業員と共に戻って来てくれやしないかねと良くボヤいたもんです。
社長はロベルトさんに恋してるとか笑われたりもしたもんです。

一昨日雪が降り、一面雪景色となった昨日12月19日。
恋人にプレゼントを探す1人の男性。

男: このピアスをちょっと見せて欲しいんだけど。

店: 畏まりました。
  こちらで宜しいですか?

男: あぁ・・・前に買ったものとちょっと似ているな・・・。

店: 弊社でお買い求めになられたものですか?

男: もう4年か5年前だけどね、3つパールが付いている指輪でね。

店: !!!!!!!!!!!!

男: あと確か・・・・ピアスも買ったような気がするけど・・・・・。

店: に、2004年の7月・・・ですか?

男: あぁ、確かにバカンス前だったかなぁ・・・。

店: ・・・・・・・ご無沙汰しております、Mr.ロベルト。

男: えぇ!?・・・・か、買った商品だけで客を思い出せるのか?

店: えぇ、まぁ印象に残っている方は・・・・。

男: いやぁ驚いた!まるでコンピューターだな!
・ ・・・ち、ち、ちょっと待てよ!!
ま、まさかじゃあ君はあの時のこぞ・・・失礼、あの時の少年か?

店: はい、覚えてらっしゃいますか?

男: 覚えているとも!君を気に入って買い物したんだから!

店: 光栄です!・・・あれから5年が経ってもう29歳になります。
  昨年には結婚もしまして、来年には妻がミラノにやって来ます。

男: そうかそうか、立派になって!
イタリア語も喋れるようになっているじゃないか!
  そうかぁ、君があの時の・・・・そうか、そうか・・・・。

という訳で、なんだか分かりませんが2人でウルウルしてしまいました。w
ロベルトさんはその後離婚されたらしく、暫くジュエリーが要らない状況だったそうです。ww

イタリアは離婚するのに申請から4年が掛かります。
恐らくはDMが返ってくるようになったのはそういうことだったようです。

で、現在は晴れて?離婚が成立し、新しいパートナーにも恵まれたので、
じゃあ久々にあの店に行ってみようかなということだったようです。

この日は結局30分ほど接客し、南洋真珠ピアスを購入されました。
その接客の間、ロベルト氏は息子を見守るような視線でニタニタ。
私は師匠に自身の傑作を見せるような気持ちでドキドキ。
後に弊社従業員に聞いたところ、その様はしかし結構気持ち悪かったそうですよ。ww

いやしかし、本当に嬉しかったです。
直接ユーザーの顔を見て販売できるとこういうことがたまにありましてね、
こういう瞬間になんとかやってきて良かったなと思います。

昨日はロベルト氏を契機にぐいぐい売り上げも伸びまして、
今年の1日の売り上げ最高を記録致しましたので気分爽快。
なのに今日、日曜が売り上げいまいちで気分限界。www

ともあれ。
本年も最終営業日まで残すところ4日です。
どういう結果であれ、とにかく最後まで気持ちを切らさず頑張りま~す。

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